Archive for the 'Log-Takumi Endo' Category

Project Phonethicaの概要を説明したページを更新しました(英/日).

http://www.phonethica.net/about/

2005年の開発案件及び今年度の開発内容を反映しています.ご高覧ください.

なお,英日それぞれの文頭に配したJPG画像は,2003年秋にパリで開催したPhonethicaの初めてのプレゼンテーションでプロジェクトイメージとして使われた紋様で,3000枚余の様々な静止画から生成されています.

遠藤拓己

Lecture at TUAD

19Oct06

さる10月13日,東北芸術工科大学にて特別講義を行いました.当日はPhonethicaプロジェクトを中心とした近作についてのプレゼンテーションの他,欧州やインドのA.I.Rについて,それから最後に社会と芸術の関係性について思うところをお話しさせていただきました.

遠藤拓己

9月18日より23日まで,銀座のアートギャラリー,スペース・コーボー・アンド・トモにて開催される「DIVVY/dual プロジェクト #1」にて 「TYPE – TRACE」の展示を行います.「TYPE – TRACE」は,Project Phonethicaのインスタレーション構想中に湧き上がってきたいくつかのアイデアのうちの1つをベースに,エンジニアの松山真也さんと共に制作中の新作です.
NTT ICCで展示中のProject Phonethica Installation “RONDO”とはスケールも毛色も異なる作品ですが,多くの方々にお越し頂ければ幸いです.なお,展覧会終了日の翌日24日(日)には,NTT ICCにてこの企画に関連したトークセッションを行います(パネリスト:椿昇.楠見清,ドミニク・チェン,山形浩生,遠藤拓己)ので,こちらもあせて是非.

以下プロジェクトサイトより引用:

DIVVY/dual プロジェクト #1は,創造行為を行う人(アーティスト)、それを伝える人(キュレーター)、そしてそれを楽しむ人たち(オーディエンス)の繋がりを新しく模索するためのプラットフォームを作っていく新しい取り組みです.
DIVVY/dual とは、INDIVIDUAL[個人/主体]を分割することによって、複数のアイデンティティを共有するという意味の造語です.
今日、私たちは創造的な作業を一人で行うのではなく、ネットワークとメディア技術を使って不特定多数の人たちとアイデアや能力を共有しながら、より高度な地点に到達できるということを「オープンソース」や「フリーカルチャー」といった運動の歴史から知ることができます.私たちは実験的な芸術とウェブ文化の側面を参照しながら、「作り手/受け手」という構図を分割して、「作り手」と「受け手」が協同しながら表現活動を蓄積していくための枠組みを実験・議論・提案していきます.
第一回となる今回は、作曲家/メディア・アーティストの遠藤拓己による作品展示がフィーチャーされます.「言葉というメディアは私たちが持つ最もベーシックなメディアであり、私たちはタイピングをして一日に何千もの言葉をメールや仕事で生成する.この作品は、時間軸上でタイピングを記録し,再生する.一字一字、タイプ音と共に再現される言葉の集積を眺めることによって、タイプした人間の気配や温もりが浮かび上がってくる.そして他者のテクストの上に、あなた自身の痕跡を残していくことによって、この織物は姿を変えていく.」
[エンジニア:松山真也;キュレーター:ドミニク・チェン]
この展示の後の2006年9月24日(日)午後14:00より、NTT ICCにおいて関連トークセッションが開催されます。
[プロジェクト主催者:Gadago NPO; スポンサー:モジラ・ジャパン]
DIVVY/dual プロジェクト #1 「TYPE – TRACE」
会場: スペース・コーボー・アンド・トモ
スケジュール: 2006年09月18日 〜 2006年09月23日17:00まで
住所: 〒104-0061 東京都 中央区 銀座1-9-8 奥野ビルB1
電話: 03-3567-8727 ファックス: 03-3567-8727

世界の食卓

08Aug06

世界の食卓(TOTO出版)

世界24ヶ国の30家族をそれぞれの一週間分の食料と共に撮影した写真集.著者は米国の報道写真家Peter MenzelとジャーナリストのFaith D’Aluisio.

世界各地の家族を訪ね歩き,すべての家財道具を撮影した「地球家族」を出版後,インドネシアのジャングルで狩猟採集生活を営む原住民を取材した折に,食糧不足に悩む現地の子供がインスタントラーメンを乾麺のままかじっている姿にショックを受け,世界の食料事情を写真で表現する試みを始めたという.

Project Phonethicaでは,音声の偶然の近似を媒介に世界の多様性にアクセスする仕組みを構築している.なぜ音声をPIVOTにするのかと言えば,それは,音声が人類における最も普遍的な事実の1つだからである.文字を持たない民族は現在もなお存在するが,話し言葉を持たない民族は未だかつて一度も現れていない.生成文法の提唱者チョムスキーによれば,音声言語は生得的な能力であるが,読み書きはいかなる人も,意図的な訓練によって習得しなければならない.

この写真集で扱われている「食」もまた,人間の基本的な営みである.食べ物を摂取せずに生きながらえる民族は当然のことながら存在しない.

というような事をつらつらと考えながらこの写真集を眺めているうちに,ロラン・バルトの「明るい部屋」(みすず書房)の一節を思い出した.曰く,
『ある写真のプンクトゥムとは,その写真のうちにあって,私を突き刺す(ばかりか,私に痣をつけ,私の胸を締めつける)偶然なのである』

言語を主題とするプロジェクトを推進する際のジレンマは,言語というものが言語化できないものを常にその外へとはじき飛ばしてしまうということである.

写真というメディアが時に起こす奇跡とは,この,言語によってはじき飛ばされた諸々の事象を捉えることにほかならない.

この辺りのことをもう一歩踏み込んで考えてみることで,Phonethica Webの情報表現設計に何か突破口が開けるかも知れない.

遠藤拓己

イスラエルとイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの戦闘が激化しているレバノンを,2004年1月,Phonethicaの取材のために訪れた.

滞在中はベイルートをベースに数日間のフィールドワークを行ったのち,フェニキア文字発祥の地,ビブロスを望む高台に位置する友人の山荘に拠点を移し,大学教授で弁護士でもある友人の御親父からレバノンの複雑に絡み合った近代史のレクチャーを受けつつ,取材記録の整理と編集を行った.帰仏前夜には再びベイルートに戻り,レバノン人アーティストやアクティビスト達数人と朝まで話しをした.

その中の一人,現在はパリを拠点に活動するアーティストから昨日,近況を伝える一通のメールが届いた.

「自分の作品を高く売ってイスラエルを攻撃するためにミサイルを買いたい」と語っていたそのアーティストは,公約通りリオ・デ・ジャネイロの大富豪とパリのサンジェルマンにあるギャラリーに自分の作品を売り,そのお金で本当にミサイルを買ったという.

また,「この国に一番必要なのは教育システムだ」と静かに話していた有機食品レストラン経営者の青年は,先週,大いに繁盛していたその店の権利をフランス資本の会社に売り,数年前から資金援助をしていたというヒズボラに正式に加わったそうだ.

一方,薬学を学ぶために米国留学を目指していたそのレストラン経営者の妹は,駐レバノン米国大使館の公募するスカラーシップに選抜されて大喜びしたのもつかの間,そのプログラムが実は中東情報専門家の養成を目的としているのではないかと訝る両親の大反対に屈し,現在もベイルートのユネスコ関係の事務所でインターンを続けているとのこと.

「世界の警察」を自認するその米国は国連や欧州,アラブ諸国が求める即時停戦要求を事実上拒否した.

第一次大戦後から1943年の独立までフランスの委任統治下にあり,現在もフランス語が公用語の1つになっている影響からか,レバノンで話されているアラビア語はとても柔らかく優しい響きをもつ.滞在中は様々な人にインタビューを行ったが,その記録のひとつを以下におく(若干聴き取りにくいが,時々相づちを打っているのが上記したミサイルを買ったアーティストの声).

遠藤拓己

http://www.inexhale.net/audio/04011301.mp3


Project Phonethica

Combining scientific technology and art, Phonethica is an interdisciplinary project which explores the diversity of the world, through the phonetics of its 6,000 languages.