Archive for July, 2006
Fieldwork in Lebanon
イスラエルとイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラの戦闘が激化しているレバノンを,2004年1月,Phonethicaの取材のために訪れた.
滞在中はベイルートをベースに数日間のフィールドワークを行ったのち,フェニキア文字発祥の地,ビブロスを望む高台に位置する友人の山荘に拠点を移し,大学教授で弁護士でもある友人の御親父からレバノンの複雑に絡み合った近代史のレクチャーを受けつつ,取材記録の整理と編集を行った.帰仏前夜には再びベイルートに戻り,レバノン人アーティストやアクティビスト達数人と朝まで話しをした.
その中の一人,現在はパリを拠点に活動するアーティストから昨日,近況を伝える一通のメールが届いた.
「自分の作品を高く売ってイスラエルを攻撃するためにミサイルを買いたい」と語っていたそのアーティストは,公約通りリオ・デ・ジャネイロの大富豪とパリのサンジェルマンにあるギャラリーに自分の作品を売り,そのお金で本当にミサイルを買ったという.
また,「この国に一番必要なのは教育システムだ」と静かに話していた有機食品レストラン経営者の青年は,先週,大いに繁盛していたその店の権利をフランス資本の会社に売り,数年前から資金援助をしていたというヒズボラに正式に加わったそうだ.
一方,薬学を学ぶために米国留学を目指していたそのレストラン経営者の妹は,駐レバノン米国大使館の公募するスカラーシップに選抜されて大喜びしたのもつかの間,そのプログラムが実は中東情報専門家の養成を目的としているのではないかと訝る両親の大反対に屈し,現在もベイルートのユネスコ関係の事務所でインターンを続けているとのこと.
「世界の警察」を自認するその米国は国連や欧州,アラブ諸国が求める即時停戦要求を事実上拒否した.
第一次大戦後から1943年の独立までフランスの委任統治下にあり,現在もフランス語が公用語の1つになっている影響からか,レバノンで話されているアラビア語はとても柔らかく優しい響きをもつ.滞在中は様々な人にインタビューを行ったが,その記録のひとつを以下におく(若干聴き取りにくいが,時々相づちを打っているのが上記したミサイルを買ったアーティストの声).
遠藤拓己
http://www.inexhale.net/audio/04011301.mp3
References
Project Phonethicaで参照の参考文献一覧(順不同.2006年7月改訂)
言語学大辞典 全七巻 / 亀井 孝・河野六郎・千野栄一 / 三省堂
世界の言語ガイドブック〈1〉ヨーロッパ・アメリカ地域 / 東京外国語大学語学研究所 / 三省堂
世界の言語ガイドブック〈2〉アジア・アフリカ地域 / 東京外国語大学語学研究所 / 三省堂
消滅する言語-人類の知的遺産をいかに守るか / デイヴィッド・クリスタル / 中央公論新社
世界のことば小事典 / 柴田武 / 大修館書店
少数言語をめぐるの旅-フィールドワークの最前線から / 大角翠 / 三省堂
ことばの歴史-アリのことばからインターネットのことばまで / スティーヴン・ロジャー・フィッシャー / 研究者
ことばと社会-多言語社会研究 / 7号:特集「危機言語」/ 三元社
完全言語の探求 / ウンベルト・エーコ / 平凡社
言葉・狂気・エロス-無意識の深みにうごめくもの / 丸山圭三郎 / 講談社
ことばと文化 / 鈴木孝夫 / 岩波新書
日本語と外国語 / 鈴木孝夫 / 岩波新書
書きたがる脳言語と創造性の科学 / アリス・W・フラハティ / ランダムハウス講談社
歌うネアンデルタール-音楽と言語から見るヒトの進化 / […]
Goes to the next step
Project Phonethicaは,IPA未踏ソフトウェア創造事業(北野宏明PM)の継続支援決定を受けて,新たな段階へと移行しています.
今年度は,昨年度の開発案件「Phonethica System」の開発過程で明らかになった問題点(デジタル化された言語データの偏りなど)を解決するため,現在スタンドアローンアプリケーションである上記「Phonethica System」を拡張し,ユーザー参加型のWeb Systemを新たに構築します.全世界のユーザーから集められた大規模な言語データと現行のアプリケーションとをシームレスに統合することで,プロジェクトに立ちはだかる諸問題をその根本から解決しようとする試みです.
開発パートナーにはクリエイティブユニット“Alliance Port”を迎え,万全の開発体制が整いました.今後のプロジェクトのアクティヴィティに是非期待していてください.
遠藤拓己:ディレクター
Phonethica スライドプレゼンテーション
昨日公開したサウンドファイルに続き,ICCでのシンポジウムで使用したプレゼンテーションスライド(quicktime movie)を以下に公開します.併せてご覧下さい.
ICCオープン・サロン「未踏ソフトウェアの創造」
7月8日,北野宏明氏と茂木健一郎氏を迎えてICCで行われたシンポジウムを壇上で録音したmp3を公開する.
http://www.inexhale.net/audio/phonethica_icctalk.mp3
Project Phonethica
Combining scientific technology and art, Phonethica is an interdisciplinary project which explores the diversity of the world, through the phonetics of its 6,000 languages.
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